日記【48】
もう頼みごとを易々と受けない、という決意をした出来事が中学時代にあった。
学校で年に1回、あたしが大っ嫌いな駅伝大会が開かれる。
1区〜9区まであり1区間約3キロあったと思う。
でも9区だけは数人でわけて走ることができた。(いわゆる走るのが苦手な人間のための区間)
言わずもながあたしは9区だった。
そう、駅伝大会の前日までは、、
駅伝大会の前日、部活の試合があって遠征していた。(ソフトボール)
学校に着く頃には心身ともに疲弊しきっている。
当時の部活の顧問は担任でもあった。
その担任に電話がきたのだ。
その内容は、明日1区を走る予定だった子が怪我か何かで走れなくなった、というものだ。
当然変わりを探さなくてはならない。
しかしクラス全員走る区間はすでに決まっている。
となると9区を走る数人の中から、1区を走ってくれる人をみつけなければならない。
そしてそのとき担任の目の前には9区を走る予定の、都合のいい人間がいた。
そうあたしである。
嫌なのは当たり前なのだが、かと言って逆らう勇気もなかったので渋々承諾。
翌朝学校に着くと、担任が入念にふくらはぎにテーピングをしてくれた。
土日はほぼ休みなしで試合や練習をしているので、それなりに脚が悲鳴を上げている。
そこからはもう淡々と進んでいった。
よーい、バン。でスタート
9区を走る予定だった足の遅いあたしは、当然ビリだ。しかも後ろから担任が原付に乗って追いかけてくるのだ。どんな拷問だ。
申し訳なさを感じつつ次の人にたすきを渡す。
そこから帰りのバスの記憶があまりない。
結果、ビリから始まったのに3位か2位くらいになれた。みなに感謝した。
そして入賞したクラスは表彰されるのだが、
お前が1番頑張った、行ってこい。
と言われたのであたしが賞状を受け取ることとなった。テーピングが妙に恥ずかしかったし、不甲斐なさを感じたが、嬉しかった。
何か頼まれて引き受けるたびに人から感謝されるのはいいことだ。でもその度に精神を擦り減らしてちゃたまったもんじゃない。
お陰で今では、バイトのシフトを代わって欲しいと言われたときすらもよーく考えるようになった。