日記【31】
よく通る道に木がある。
枯れた背の低い木だ。
その木の中心あたりに鳥の巣があった。
手を伸ばせば届きそうなほど近い。
恐らくもうその家の主はどこかへ行ってしまった。
パッと、中学校の思い出が蘇った。
(思い出と言うほど綺麗なものでもないが。)
ある1人の女の子がいた。
その子とあたしは全く話したことはない。
その子は周りから"鳥の巣"というあだ名で呼ばれていた。
もちろん本人が知らないところでだ。
なんで鳥の巣かというと、髪が天パでおまけに髪を抜く癖があるため中心部がうっすら薄くなっていたからだと思われる。
あたしは冷たい女だった。
それを聞いて何も思わなかった。
愛情の反対は無関心と言ったもので、本当に無関心だった。
今となっては、こうして思い出すくらいだから、少しは関心があるんだろう。
その子は、何か髪を抜くまでにに至ったストレスを抱えていたのかもしれないし、変なあだ名で呼ばれていることに気がつき傷ついていたかもしれない。
あの時あの子に何かしてあげられていたら、、
なんて綺麗ごとは考えないし同情もしないあたしではないが、少し歳を重ねた今は関心はある。
少しは心も歳をとったんだなと。